主の栄光教会ってどんな教会なんだろう?その答えは、教会に通う一人ひとりにあると考えます。教会を作っているのは、教会に通う一人ひとり。だからメンバーを知れば、その姿が浮かび上がってくるはずだと、連載コラムがスタートしました。教会の掲げるミッションとしてのSMART(Social・Motivative・ART)。そんなスマートな人たちの魅力に迫ります。
当初は獣医として動物を研究する研究者になるべく生命科学を専攻していたのに…、早稲田大学理工学部1年時の教養授業で触れた大学物理に魅了され、院から物理の道へ。専門の転向には周りから無謀だと多々言われつつも、数式の美しさや数学を使った論理的な説明に惹かれてしまったからしょうがない。今回はそんな物理博士メンバーの姿に迫ります。
File.030 松本匡貴さん(研究職・30代)
神秘的で面白い物理が、神様の神秘性と
つながるとよいなと思っています。
―聖書を学ぶようになったのは、浪人時代だったとか。
そうですね。出身は静岡なんですが、先に大学生として千葉に下宿していた兄を頼って千葉で浪人していました。教会のメンバーの方と知り合って聖書を学ぶようになったのですが、聖書には人としてあるべき姿が書かれていて感動したのを覚えています。宗教には抵抗はありましたが「迫害するもののために祈れ」と書いてあるくだりなどは宗教うんぬんよりも、人としてあるべき姿だなと思ったわけです。
―なるほど。新約聖書で言うならばキリストの姿や弟子たちの姿には折れるしかないですよね。
そうですね。ちなみに、偉大な物理学者と言われる人も部分的にはもちろんすごくて、偉大な業績をあげているのですが、異性にだらしなかったりすることも多いんですよ笑)。その点、聖書を教えてくださっている牧師さんは知れば知るほど正しい人だとわかって。
―聖書で書かれている人物や教えてくださっている方の人格や精神的なところに折れたんですね。しかし、聖書を学んでいくと目には見えない神様という存在に行きつくと思いますが、そのあたりはどうでしたか?
学んでいる聖書の話が正しいならば、神様がいるというのも正しいと思いましたね。論理として御言葉で言われていることは正しいので、そのように生きなさいと言われる、聖書の御言葉の上にいると思われる神様もいるな、という具合かな。

―帰納法で神様に至ったというか笑)
ですかね笑)ちなみに、いよいよ神様を信じるか信じないかとなった時に「囚人のジレンマ」という理論で信じるという選択をしました。
―理系的でいいですね!笑)
囚人のジレンマは、簡単に言うと個人の利益を優先させるためであれば、肯定的な選択を選ぶべきという考え方です。つまり神様がいるのかいないのかの2択がまずあって、それに伴って僕が信じるか信じないかの2択がある。神様はいて、自分が信じるというのが一番いい結果になるなと思ったんです。神様がいて、自分が信じることで変化し努力したら天国に行けるのが一番いいな、と。ちなみに、神様がいて、自分が信じないというのは楽だけど一番まずい。逆に神様が実際にいなくて自分が信じるというのは努力して信じるというのがなんだか損した気分になる。そして神様がおらず、自分も信じないというのは現状維持になるな、と。信じて自分がよく変わっていくのはうれしいことですし、神様がいると仮定したほうが得だなというのが学び始めた時に思ったことです。今はさすがに損得で信じているわけではないですが笑)
―ほほう。神様信じた方が得だよねっ!というのは、実にシンプルでいいですね笑)
笑)もちろん、神様を信じて聖書で学んだことを行なっていくうちに変化した自分が実際にいました。一番変化した点は、物事を肯定的に考えられるようになったことです。聖書を学ぶ前は悪いことがあると人にせいしてしまうこともあったり、文句を言ってしまいがちでしたが、今は肯定的に考えられるようになりました。これ、研究職に就いてもとても大事なことだと実感しています。人格がとても大切なんです。能力ももちろん大事ですが、やはり人と人のつながりで研究も進めていけるので。

―研究も仕事も何でも、結局は一緒にやりたいと思える人と進んでいくことが多いですよね。(1年間の)浪人中に神様に出会えてよかったですね~!!
本当に! 今回の取材を受けるにあたって、コラムのタイトルが「スマートな人」ということで、自分も人のスマートさについて考えみたのですが。スマートかどうかは、計算した結果をどう捉えるのかにあると思っていて。例えば人が見たら面白く思えないことの中に、宝があるかもしれない、そういうポジティブさが人生でも大切だと思います。そして自分はそういうポジティブさが研究にも生かされています。
―人としてどうあるべきかというのは、勉強するだけでは学べないですよね。にしても、現在は趣味も物理、仕事も物理とお聞きしましたが、学生時代もやはり勉強一筋!みたいな感じだったのでしょうか?!
そうでもないですね笑)大学に入ったらとにかく遊ぶぞ!って思っていて、勉強が好きというよりは負けず嫌いで勉強を頑張ったタイプです。しかも、高校時代は友人に恵まれて楽しく過ごしました。学校を抜け出したりもしばしば笑)高校は進学校でしたが、自由な校風だったので、いわゆる真面目に勉強だけしていたというよりは自由に青春を謳歌したイメージです笑)

―おお。それは意外!笑) そして、遊ぶぞ!と意気込んだ大学で物理に出合ったという。
出合ってしまいましたね笑)現在は土日も物理の論文を読んだり、書いたりしているので、妻に「土日ぐらいは仕事から離れたら…」と言われることも。
―そこまで好きな分野に出合えるのは素敵なことですね。奥様にちらとお聞きしましたが、週末にも物理に触れているのはよいとしても、ふとパソコンのスクリーンを見た際にズラッと数式だらけで「パソコンの見た目自体が理解できない…(笑)」と思ったと!笑)まあ、同じ文系の人間からしますと、その気持ちもわからないでもないです!笑)
笑)

―さて、中国の大学に勤務されて研究されていらっしゃいましたが、コロナ禍で大変な思いをされたとか。
はい。コロナ禍の前も大変な思いをしまして。2020年4月に博士号を取ったものの、そこから半年間まともな職に就けず…。バイトで食いつなぎながらやっと研究室に入りましたが、月3万円の給料で、家賃が2万円という生活で。ポスドク(※)あるあるではありますが、さすがにきつかったですね笑)そんな生活が3カ月続いたころに、知り合いの教授経由で個人的に中国の大学で空きが出たと声がかかって、選ぶ立場でもないので笑)、即「とにかく行きます!」ということで中国に。コロナ禍だからこそ、個人的に教授も探すしかない状況だったようで、しかもコロナ禍ゆえに海外渡航の支援もあったので、ある意味コロナによる恩恵もありました。
(※)ポスドク(Postdoctoral Researcher):博士号を取得した後、大学や研究機関で任期付きの研究職に就いている人。博士研究員とも呼ばれる。
―しかし、すぐロックダウンを経験されて。
はい。2021年にロックダウンの上海にいました。2~3カ月間、部屋から一歩も出られないという状況で、キャンパス内に住んでいたのですが、キャンパス自体からも出られないというのがさらに4カ月もあって…。食料は1日3食が運ばれてくるのですが、人と話す機会はなく、生きてはいるがとにかく孤独で死にそうでした…。そうしてロックダウンを終えて解放された時に「もう、とにかく結婚したい!!」と思ったんですよ笑)
―そうして2022年にご結婚されて。よかったですね、本当に。
本当に笑)タイミングがよかったです笑)

―さて、とても名残惜しいですが、現在研究されている分野のことをお聞きしつつ、今後の展望などお聞きできればと思います。
現在の研究分野を簡単に申しますと…。物理は宇宙の始まりであったり、物質が何でできているのか、といったものから、水や電気の流れなど自分たちが日常で接しているものすべてが研究対象と言えます。自分は超弦理論(※)で非平衡系(※)を探る研究をしています。例えば水の分子などはたくさんあり、変化のある身近な現象の方が実は調べるのが難しいのですが、(非平衡系の)身近な現象を宇宙の解明で使われる物理の方法で簡単に理解し、調べられる可能性があるのではと思っています。つまり、全く違うようでいて、根本的なところで物理構造がつながっているとわかってきているので、(非平衡系の)身近な現象が宇宙の仕組み等と根本的につながっているのではないかという点を神秘的に思っています。
(※)超弦理論:物質の基本的な構成要素が粒子のような「点」ではなく、長さがある「ひも」だと考える理論。
(※)非平衡系:変化のある状態。我らの身の回りにある温度や空気の流れなど常に変化を伴う現象の状態をいう。

―宇宙のような大きなスケールのことと、自分たちの日常で触れている小さなスケールのことがつながっていると説明できるというのはとても面白いですね! 頭使いすぎて、汗かいてきましたが笑)
笑)全く違う分野に見えて実は根本がつながっていることで、お互いに説明ができるというのを追究していきたいと思っています。そして、神様を知る研究者として、直接的には研究に神様のことや宗教のことを結び付けることはできないですが、科学と宗教は矛盾するものではない点を証していけたらと思っています。ニュートンやアインシュタインも神様を信じていた人たちですし。そのためには、世界で認められる物理学者にならないといけないと思っています。
是非、今後も素敵な物理学者として大成してください!応援しています。そして、典型的な文系である私にもわかりやすくお話いただいてありがとうございました! 物理研究者への道は、聖書と出合い、そして信仰を持てたことが大きかったと話す松本さん。今後も、その穏やかな物腰と大胆さ、芯の強さとポジティブさで物理世界の未来を切り拓かれることを期待しています!!


北京やブラジルでの研究発表にて。
